2014年12月27日土曜日

ポーラ銀座ビル5周年記念企画『フジタ、夢をみる手』

皆様、こんばんは☆
引き続き、明日28日で会期が終了する展覧会情報となります♫
(前回の記事はコチラ)

二つ目は、銀座の
ポーラ ミュージアム アネックスで開催されています
レオナール・フジタ(藤田嗣治 1886-1968年)の戦後の作品に
スポットを当てた展覧会
『フジタ、夢をみる手』です☆

(なんと入場無料!HPはコチラ



ポーラ ミュージアム アネックス にて
(撮影:aki)



「エコール・ド・パリ(École de Paris)」の画家として名高いフジタは、
「すばらしき乳白色」と絶賛された裸婦を描いた作品で知られるほか、
婦人像や猫を写実的に描いた作品を多く残しています。

1920年代のパリで脚光を浴び、活躍。
1933年以降は日本を活動の拠点とし、日中戦争がはじまると、
従軍画家として群像表現による大画面の戦争画を制作します。

ですが、戦後は画壇から戦争協力者として批判を浴び、
失意のうちに日本を離れ、再びフランスへ渡ります。

丁度その頃からフジタの作風に変化がみられはじめます。
擬人化された動物の群像、神話上の女性、そして少女や子どもが主題となるのです。

本展覧会は、この時期のフジタの画業に焦点を当てています。(※1)


ポーラ銀座ビルのエレベーター前にて☆
ポスターの作品は《グロテスク》(1955年)
(撮影:aki)


作風の変化の背景は明らかになっていないそうですが、
個人的には
「少女」、「子供」、「神話の女性」、「動物」といったものは
日本に裏切られる形で渡仏したフジタの心を癒すモチーフであったのでは?
と思ってしまいました。
深読みかもしれませんが......。

純粋無垢でありながらも、
大人以上にシニカルな視点を持つ「
子供」や「少女」を描くことで、
フジタは戦後の日本と対峙することになってしまった複雑な心境を
昇華させようとしていたのかもしれません。


と、私の深読みは脇に置いておきまして(笑)
展覧会は本当に見応えがありました!

そして可愛かったです♡

フジタが描いた子供や少女は本当に愛らしくてチャーミング!!
見ていて飽きません☆
何時間も凝視できちゃいます!!

また、絵の他に《姉妹》という作品の額縁にもときめいてしまいました♡

ハートや天使、ムーラン・ルージュの踊り子の脚(!?)を想起させる
モチーフで彩られた額縁なのですが、フジタ自身が手掛けたそうです!
とても素敵なので、ぜひチェックしてみて下さい!
(HPにも載っております♡)

駆け足で大変失礼致しました。

もし明日、有楽町・銀座界隈へお越しの方はぜひお立寄りください♫
宝塚&フジタ両者とも奇遇にもkey wordは“夢”です☆☆


最後までお読み頂きありがとうございました。
感謝をこめて♫

Aki Ishizaka


(※1)フジタの活動や経歴についての説明は、本展覧会のHPおよび「出品作品リスト」の説明を基にしています。

『宝塚歌劇100年展 夢、かがやきつづけて』

様、こんばんは☆

今宵は明日28日で会期が終了してしまいます二つの展覧会をご紹介したいと思います!

ちなみに私は本日観覧しました(汗)

一つ目の展覧会は、有楽町の東京国際フォーラムで開催されています
宝塚歌劇100周年記念『宝塚歌劇100年展   夢、かがやきつづけて』です☆


展示会場前にて
(撮影:aki)


今年、100周年を迎えた宝塚歌劇は
創設者・小林一三氏(1873-1957年)が提唱した「新しい国民劇の創設」という理念のもと、
「清く、正しく、美しく」をモットーに、
時代と共に変化を遂げ、独自の歴史を築き上げてきました。


「日本の誇るべき文化」と言っても過言ではない宝塚の魅力を

思う存分と味わうことのできる展覧会です☆
ちなみに一部、写真撮影可です♫



大階段&現役トップスターの方々のパネル
(撮影:aki)

《ベルサイユのばら》の「オスカルの部屋」の再現
(撮影:aki)


会場にはポスター、写真、衣装、シャンシャンをはじめとする小道具など、
ありとあらゆる貴重な品々が展示されていて、とても見応えがあります☆

これらの展示品を通して、現役およびOGのタカラジェンヌの皆様をはじめ、
舞台に携わっているスタッフの方々の宝塚に対する情熱が伝わってくる点が
本展覧会の最大の魅力と言えるでしょう。




2014年宙組公演《ベルサイユのばら−オスカル編−》の
大道具デザイン画
(撮影:aki)


2014年宙組公演《ベルサイユのばら−オスカル編−》の舞台模型
(撮影:aki)


愛と夢に満ちあふれる宝塚はこうした方々の志によって形成されていると
改めて痛感できる展覧会です!!


宝塚歌劇100年の伝統の一端をぜひ体感して下さい☆☆
(公式HPはコチラ)

ここで感謝と愛をこめて一言.....

Takarazuka Forever!!

これで思い残すことはござらん!ですので(笑)
二つ目の展覧会の紹介に参りたいと思います!
引き続き宜しくお願い致します♫


Aki Ishizaka

2014年12月19日金曜日

【お知らせ】歴史文化講座を開催します☆

皆様こんにちは☆
本日は私事でお知らせがございます。

2015年1月10日(土)
横浜・山手西洋館「外交館の家」にて開催されます
トークイベント形式の歴史文化講座でゲスト講師を務めます☆

よろしければ、ぜひお越し下さいませ。
詳細は以下の通りです。




  【鹿鳴館】国立国会図書館所蔵 (※1)



歴史文化講座
時の旅人
『山手西洋館でひらく、読み解く、歴史×アートの扉 
―クラシック着物ドレス、鹿鳴館時代の音楽にのせて―』


トークテーマ:史料にみる鹿鳴館時代の女性像

講師:佐々木綾香(Classical Princess Japon リサーチャー・クリエーティブデザイナー)
 ゲスト講師:石坂安希(早稲田大学大学院文学研究科博士課程)
Music (Piano & Vocal) :志村紀美江


日時:2015年1月10日  17:45〜19:45 (受付:17:30)

場所:外交官の家<国指定重要文化財>
(〒231-0862 神奈川県横浜市中区山手町16)

参加費:1000円(Tea Party、ミニコンサート参加費含む)

詳細・お申込みは外交官の家HPまで
チラシはこちら



【鹿鳴館】国立国会図書館所蔵 (※2)



“歴史×アート”のプレミアムな一時をお楽しみ下さい。


また、内容は多少異なりますが、
講座と関連して1月23日~28日/2月28日・3月1日に
展示イベント(入場無料)を開催致します。

改めて当ブログでご案内させて頂きます☆
宜しくお願い申し上げます。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
感謝をこめて☆

Aki Ishizaka



【掲載写真について】
鹿鳴館の写真(※1、2)ですが、
転載可能なデータを使用しております。
また、図書館に直接確認もしております。

2014年12月18日木曜日

【お知らせ】Legame ☆銀座三越にて期間限定出店

寒さ厳しい日々が続いていますね。
朝起きるのが辛い今日この頃です。

寒いのは辛いですが、クリスマスシーズンは街がキラキラしていて胸が躍りますよね♫
今回はこの季節にぴったりの素敵なお知らせです☆☆


イタリア・フィレンツェの伝統的な技術による革細工と、
アクセサリーを展開する Legame(レガーメ)が銀座三越にて期間限定出店しています☆

クリスマスギフトに最適なコレクションが数多く揃っています☆☆
詳細は以下の通りです。

☆Legame☆
(銀座三越8Fにて/撮影:aki)


『クリスマスフェア 〜贈る〜ぬくもりのあるギフト』
           場所:銀座三越 8階 シンプリーハート
日時:12/17(水)〜12/25(木)
銀座三越営業時間:午前10時30分~午後8時
※19日(金)~24日(水)は全館午後8時30分まで





Legameの革小物
(銀座三越8Fにて/撮影:aki)



エイの革でできたコインケース、カードケース、ペンケース☆
息をのむほど美しいです!光沢がなんとも言えないのです!!
(銀座三越8Fにて/撮影:aki)


アクセサリー&ジュエリーボックス♡
イタリアの息吹と共に☆
(銀座三越8Fにて/撮影:aki)


Legameの革小物は、一切縫製を用いないフィレンツェ独自の特殊な伝統技法によるもので、独特のフォルムと艶が特徴です。
どれも溜め息が出るほど美しく、こだわりが感じられます。


ちなみに私自身、Legameの名刺ケースを愛用しています。
使えば使うほど革特有の色味が出てきていて、日々愛着が増しております♡

愛用しているLegameカードケース♡
“AKI”の刻印入りです!!
(撮影:aki)


そして名刺交換をする度に、何とも言えない幸福感を感じています。
ときどきドヤ顔をしたくなってしまうくらい(笑)、
持っていて誇らしい気持ちになる唯一無二のブランドです☆


この素敵なブランドの作家はHarucaさんという方で、
大学卒業後にイタリアへ留学し、
フィレンツェにある皮革の伝統工芸の工房
 IL BUSSETTO (イル・ブッセット)”にて修行された経歴の持ち主です。

帰国後にLegameを立ち上げ、デザイン・制作を開始されました。
そして現在も東京とフィレンツェを行き来し、同工房で修行を継続していらっしゃいます。

Harucaさんは大量生産や機械化が増える中で、
あえて貴重な、工房の昔ながらの“手仕事”ともいえる方法を貫きたいという、
こだわりとプライドを持つ生粋の職人なのです。


10月に開催された屋上マルシェ@日本橋三越
イタリアの工房の雰囲気が伝わってくるディスプレイ☆
(撮影:aki)



そして実は、Harucaさんとは誕生日が2日違いの同い年で、
プライベートではお互い“ちゃん”付けで呼び合う仲です☆

プライベートでもセンス抜群の彼女は、
柔らかい物腰でありながら、確固たるポリシーを感じさせる美しく素敵な女性☆

楽しみながら着々とキャリアを築いている彼女の姿をみると、
「私も頑張ろう!」と鼓舞されます♫

以前の記事で「芸は人なり」と書きましたが(詳しくはコチラ)、
それは職人の彼女にも正に当てはまることで、
美しいコレクションは彼女自身の生き様が反映されているようにも感じられます。

銀座にお越しの際は、ぜひお立寄りくださいね☆

また、Legameのブログ&ネット販売も展開されています。
ぜひチェックしてみて下さい♫


☆ichii:ショップページ

お知らせでした♡♡

最後までお読み頂き、ありがとうございます
感謝をこめて☆


Aki Ishizaka

2014年12月16日火曜日

【写真館】上野の風景☆

今回はコラムでなく、写真館となります☆

前回の記事「Hermès Paris × 東京国立博物館 表慶館」と併せて
美しい上野の風景をお楽しみ下さい。


上野公園の紅葉。
(撮影:aki)



東京国立博物館にて。
池に映った空、木々がなんとも言えず綺麗でした!
(撮影:aki)



表慶館☆
(撮影:aki)



表慶館を守る獅子様
後ろ姿をパチリ☆
(撮影:aki)



夜の表慶館☆☆
※ホーンテッドマンションではないです。
(撮影:aki)



上野公園の夜景☆
(撮影:aki)



東京文化会館☆
実はエルメスの展覧会の後、
『日本舞踊×オーケストラ vol.2』を観劇しました。(12/13ソワレ)
(撮影:aki)



最後までご観覧頂き、ありがとうございました☆
またのお越しをお待ちしております。



Aki Ishizaka

2014年12月15日月曜日

Hermès Paris × 東京国立博物館 表慶館

皆様、こんにちは。

今回は夢のように美しく、贅沢な展示会をご紹介します☆

上野の東京国立博物館 表慶館(※1)で開催されている
特別エキシビション エルメス「レザー・フォーエバー」(Hermès Leather Forever)です☆

表慶館前にて
(撮影:aki)


“重要文化財指定・明治期の西洋建築 × フランス老舗ブランド”
という最高のコラボレーション!!


(撮影:aki)


宮廷建築家の片山東熊(※2)による重厚で美しい空間に、
エルメスの製品は見事に調和していました☆

これぞ文化力!!


緑青色のドーム屋根が美しい!!
(撮影:aki)



うっとりする空間です
(撮影:aki)


皮革(レザー)を素材とした馬具工房制作から始まった
1837年創業・フランスの老舗 エルメス。


Room1「ノウハウ」
こちらお触り可でした☆
(撮影:aki)

Room1「ノウハウ」
お触り可でした☆
(撮影:aki)


どの展示品からも、職人の方のこだわりが伝わってきました。
本当にうっとりするほど美しいのです☆☆


Room3「時を重ねた風格」
(撮影:aki)


Room6「“時”を蔵する」
.....に展示されていたものだと思います。間違えていたら申し訳ございません。
(撮影:aki)


製品が美しいのは然ることながら、
「大人の遊園地♫」と勝手に命名してしまいたくなるほど、
展示空間一つ一つが面白く、魅力的で、ワクワクしながら鑑賞しました☆


会場構成をなさったアレクサンドラ・プラット氏の
遊び心に溢れたセンスの良さには脱帽です。


Room3「時を重ねた風格」
白のオーストリッチ製のサイ
ズーズーちゃん
(撮影:aki)


全12ルーム・11テーマから構成されている会場ですが、
ブースのテーマ名をみると、
「時をかさねた風格」、「夢をかたちに」、「ノドマの精神」など
詩的で心躍るものとなっています♫



Room9「ケリーとバーキンのバリエーション」
(撮影:aki)

Room8「馬−最初のお客様」
(撮影:aki)

Room12「スターバック」
盆材にインスピレーションを得たという
ミクロサイズのバッグの展示ブース☆
(撮影:aki)



ただですね、観覧する上で、
「肉眼でじっくり展示をみたい!でも写真も撮りたい!」と、
なんともニクい悩みが生じていました。

空間を楽しみ、製品を食い入るように鑑賞し、撮影し......
楽しくも忙しかったです。格闘していました(笑)



大理石でできた床のモザイク。
歩く度に幸福感を感じてしまいます☆
(撮影:aki)


階段が幻想的にみえました
(撮影:aki)



この展覧会は12月23日まで開催しています☆
そして驚く事に、見応え十二分の展示会ですのに
なーんと入場無料です!!
(入場引換券をダウンロードはコチラです☆)


皆様、ぜひぜひ足をお運び下さい。
オススメです!!!
私、リピートしそうな勢いです(笑)


最後までお読み頂きありがとうございました。
感謝をこめて。



Aki Ishizaka



【注】
(※1) 東京国立博物館 表慶館
宮廷建築家・片山東熊による明治期の西洋建築。
1900年(明治33)、皇太子(後の大正天皇)の御成婚を記念して、
市民からの寄付金によって奉献された日本初の本格的な美術館。
1909年(明治42)に開館。
1978年(昭和53)に重要文化財に指定。

(※2)片山東熊(1854-1917)
宮廷建築家。お雇い外国人の建築家ジョサイア・コンドルの最初の弟子。
代表作に京都国立博物館(重要文化財)、東宮御所(国宝 現:迎賓館)がある。

2014年11月7日金曜日

『至高のエトワール 〜パリ・オペラ座に生きて〜』

皆様、ご機嫌いかがですか?

明日、11月8日(土)からBunkamuraル・シネマにて(ほか、全国順次ロードショー)
映画『至高のエトワール 〜パリ・オペラ座に生きて〜』が公開されます。

パリ・オペラ座バレエ団のエトワールを16年間務めた
アニエス・ルテステュ(Agnès Letestu)の2013年アデュー公演『椿姫』(退団公演)までの
2年間を追ったドキュメンタリーです。(※1)

映画のちらし&試写会当日に頂いたリーフレット
(撮影:aki)



先日、一足お先に試写会にて鑑賞しました。
心が洗われるほど美しく、奥深い、感動的なドキュメンタリーでした。
一押しの映画です☆
(公式HPはコチラ)






本作は、アニエス自身のインタビュー、貴重な舞台映像と共に
彼女と同じ舞台を共有したダンサー、振付家、そしてオペラ座関係者の証言で
構成されています。

「エトワール」として舞台に立つ責任の重み、
その責務を凌駕してしまうほどの踊る喜び、
舞台上で一心同体となるパートナーへの思い、周囲の人々との信頼関係といった、
アニエスをはじめ、彼女を取り巻く舞台関係者の方々のバレエにかける情熱、
そしてバレエを通して深く築かれた絆が
ダイレクトに伝わってくるドキュメンタリーです。

眩いばかりに美しいバレエの舞台は、こうした愛を持って取り組んでいる人々によって
創られているのだと身を以て感じられます。

シャガールの天井画が美しい
パリ・オペラ座ガルニエの客席
(パリ・オペラ座で購入したポストカード:私物スキャン)


そして何よりも、「芸は人なり」という言葉が自然と浮かんでくる点が、
このドキュメンタリーの醍醐味と言えるでしょう。

周知の通り、アニエスの踊りは「優雅で上品」と形容されます。
私自身、幸運にも彼女の舞台を拝見していますが、
まさに彼女の踊りは“エレガンスの極み”と言っても過言ではない美しさです。
常に大人の品格が漂い、深みがあるのです。

そのエレガントさの秘密は、疑いもなくアニエス自身のパーソナリティーにあるのだと
映画を通して実感できます。

舞台上のみならず、インタビューでの受け答えや佇まい、
全てにおいて美しく、そして大人の貫禄に満ちあふれているのです。

また、アニエスの普段のファッションセンスからもエレガントさが伺えます。
彼女は舞台衣装のデザイナーとして活躍していることもあり、
美を体現するのに長けています。



映画のチラシ&当日頂いたリーフレットPart2
(撮影:aki)


そして、とりわけ舞台の練習風景からアニエスの人となりが伝わってきました。
印象的だったのは、共に舞台を作り上げている人々を尊重している姿でした。
彼女の周りには絶えず穏やかな空気が流れていることが映像からも充分垣間みられます。

また、彼女は情熱的に役を深めながらも、常に自身の踊りを俯瞰しているのです。
そこには邪念が一切なく、バレエの神髄を極める姿勢だけが存在していました。
美意識の高さに加え、「情熱さと冷静さ」、「穏やかさとストイックさ」といった
バランス感覚の良さが、
彼女の品格のある美しい踊りを形成しているのだと思います。


本作を通して、やはり舞台は人格が透けてみえてしまうものだと
改めて感じました。

このドキュメンタリーは間違いなく、バレエファンには必見です。
ですが、「一人のダンサーの生き様を通してバレエ芸術に触れる」という観点からは
万人にオススメできる映画と言えるでしょう。

皆様ぜひ、御覧下さい☆



最後までお読み頂き、ありがとうございました。
感謝をこめて☆☆

Aki Ishizaka



(※1)
エトワールとは、フランス語で「星」を意味する。
パリ・オペラ座におけるダンサーの階級社会の最高位。
またエトワールには定年が設けられている。

2014年10月31日金曜日

NHKスペシャル −東京の100年を体感して−

皆様、こんにちは。
10月も今日で終わりですね。
今年も残すところ2ヶ月....「光陰矢の如し」とは正にこの感覚!!
2014年、残りの月日が皆様にとって実り多きものになりますように☆


さて、今回は10月19日(日)21:00-22:13(NHK総合)に放映された
NHKスペシャル『カラーでよみがる東京〜不死鳥都市の100年〜』についてのコラムです。(HPはコチラ)

この番組は、カラー化された東京の貴重な映像を通して、栄枯盛衰を繰り返す
まさに“
不死鳥(phoenix)”のような都市の激動の歴史を体感できるものでした。
カラー化に関しては、NHKが東京を撮影した白黒フィルムを世界中から収集、
フランスCC&C社と協力し、現実にできるだけ近い色彩の復元に挑んでいます。

今年、開業100周年を迎える東京駅
(2012年10月、復元工事完了時に撮影:by aki)

東京のカラー化された映像を拝見し、
モノクロ映像とは異なった感慨がこみ上げてきました。

個人的にはモノクロの映像には特有の味があり、
また当時の技術の痕跡が感じられるのでとても気に入っています。
ですが今回は、カラー化映像の効力に圧倒されました。
モノクロ映像よりも、カラー化された映像での方がより過去の歴史が
身近なものとして迫ってきたのです。

今回、ほんの少し学術協力させて頂きました宝塚の舞台映像のカラー化に関して言えば、
当時の宝塚の観客の方々の高揚感にシンクロするような心地がしました。

こうしたカラーの映像を通して、破壊と再生を繰り返す「諸行無常」ともいえる東京、
そしてそこに生きる人々の姿を目の当たりにし、号泣せずにはいられませんでした。

それは番組によって「過去を傍観した」のではなく、
「自分たちのルーツを体感できた」からだと思います。

時代がどんなに変わろうとも、東京人ないし日本人の持つ不屈の精神、喜怒哀楽、
美徳というものは時空を超えて共通していると感じられたのです。

東京駅丸の内駅舎内のドーム
100年前に開業した東京の玄関口
(撮影:aki)

都市の歴史は、紛れもなく私たち人類の歴史です。
繁栄を享受している中でも、震災や戦争を乗り越え、一つの時代の終焉を迎える時でも、
確実に過去から現在へ、そして現在から未来へと、私たちの精神は受け継がれ、
新たな時代を創造しています。

番組の言葉にありましたとおり、
今日はあの日につながり、あの日も今日につながっている」(※1)のです。
つまり、私たちは懸命に今を生き、そして未来を築いていく責任があると言えます。
番組を拝見したことで、その真理を改めて実感することができました。


こんなにも深く心に響く素晴らしい番組に出会えましたこと、幸せに思います。
僭越ながら、番組にほんの少しでも学術協力させて頂きましたのは「光栄」の一言に
突きます。
番組の制作に携わられたNHKおよび関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
本当に素晴らしい番組をありがとうございました。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
感謝をこめて☆☆

Aki Ishizaka


(※1)
番組で流れた作家・杉本苑子さんの言葉、番組のHPのmessageの箇所を引用致しました。(http://www.nhk.or.jp/special/phoenix/)

2014年10月30日木曜日

雪組公演『伯爵令嬢』−幸福感に包まれて−

皆様、こんにちは。
今回は遅ればせながら10月15日(火)ソワレに日生劇場にて観劇した
宝塚歌劇雪組公演ル・ミュージカル・ア・ラ・ベル・エポック
『伯爵令嬢 −ジュ・テーム、きみを愛さずにはいられない−』についてのコラムです☆

(チラシのスキャン: aki)

この舞台は雪組新トップスター早霧せいな(さぎり・せいな)さん、咲妃みゆ(さきひ・みゆ)さんの
御披露目公演でもありました。
(公式HPはコチラ/宝塚ジャーナルHPはコチラ

原作は“細川智栄子あんど芙〜みん”さんによる少女漫画「伯爵令嬢」(秋田書房刊)、
脚本・演出は生田大和先生によるものです。

物語の簡単な解説&見所は以下の通りです。


【解説&見所】
「エッフェル塔、パリ万国博覧会などに代表されるベル・ エポック(良き時代)と称された19世紀末のフランスが舞台。 真実の報道を使命とし、新聞王として名をはせる公爵家の子息アラン、孤児院育ちだが実は伯爵家の令嬢であり、パリへ向かう途中の海難事故で記憶喪失となった少女コリンヌアランの新聞によって不正を暴かれた父が自ら命を絶ったことでアランに復讐を企むフランソワ、かつてコリンヌと愛を誓い合った盲目の青年リシャール、狡猾な女スリのアンナなど、個性豊かな登場人物たちが織り成す愛の讃歌。(※1)」
2008年パリにて(撮影&加工:aki )

「物語の見所は、記憶喪失になったコリンヌにアランが婚約者だと偽りを告げ、自分の屋敷へと連れて帰り、一緒に暮らし始める中で愛が生まれ、育まれていく過程。そして、コリンヌが記憶を取り戻し、真実を知ったとき、アランが嘘をついたことにショックを受けながらも、彼の愛を改めて受け入れていく点。また、主人公二人の関係性のみならず、愛と哀しみに満ちた各々の親子関係、そして二人を取り巻く登場人物それぞれの生き様の描写です☆ (by aki)」

宝塚版『伯爵令嬢』はロマンティックなハッピーエンドの作品で、
まさに新トップコンビの御披露目、そして宝塚にぴったりの演目でした。

アールー・ヌーヴォーを代表するミュシャの絵を彷彿させる色合いの装置をはじめ、
19世紀末のパリにワープしたかのように感じさせる華やかでお洒落な舞台空間は
とても見応えがあり、音楽やダンスも印象に残る素敵な演出で終始夢心地でした。

そして何よりも、個人的には宝塚が描く「幸福感」や「ハッピーエンド」が
どれだけ尊く、人の心を浄化する力があるのかを改めて痛感した忘れられない舞台と
なりました。

村野藤吾氏設計による日生劇場の観客席の天井。(撮影:aki)
幻想的な雰囲気で、個人的にはバルセロナのアールー・ヌーヴォー建築を思い出します。
『伯爵令嬢』の世界観にも調和する空間です。(劇場についてはコチラ)

前回のコラムに書かせて頂きました通り(詳しくはコチラ)
重みのある不条理演劇『炎』を鑑賞した翌日に、
その真逆とも言える甘いハッピーエンドの『伯爵令嬢』を観劇するにあたり
心が作風のギャップについていけるだろうか、また宝塚に何か抵抗を感じてしまわない
だろうかと、少なからず不安を抱いていました。
ですが、それは杞憂に終わりました。

宝塚特有の華やかなで夢のような世界観に無条件に心が浮き立ったのをはじめ、
咲妃さんが演じられたコリンヌの愛くるしさに「可愛い!」という感情を通り越し、
心が充足されるような温かさを感じ、コリンヌを愛し、己の仕事に使命感を持って
一つの時代を生きる早霧さん演じられるアランの姿には胸が熱くなりました。

こうした舞台から溢れんばかりに放たれる「愛」や「幸福感」といった
エネルギーによって強張った心が解凍されていくような感覚をおぼえ、
気づくと涙が止まらなくなっていました。

早霧さん演じるアランと咲妃さん演じるコリンヌ
(ポストカード(私物)のスキャン:aki)


甘く軽やかな夢のような宝塚版『伯爵令嬢』の世界がこれほどまでに胸を打つのは、
ただ単純に「ハッピーエンド」を迎えているのではなく、そこに至るまでに
登場人物たち各々の苦悩や葛藤が描かれいる点にあると思います。
つまり、この作品における「幸福感」には人間が当然併せ持つ哀しみや苦しみといった「陰」の部分が内包されています。

登場人物たちはこうした哀しみや苦しみから目を背けず、それらを受けとめた上で、
「幸せな結末」へと至っているため、その「幸福感」には深みがあり、
万人の心に響くものとなっているように感じられます。
こうした“カタルシス”とも言える「幸福感」は『伯爵令嬢』に限らず、
宝塚の作品に多くみられます。

日生劇場前にて。後ろには東京宝塚劇場の看板が☆
(撮影:aki)

『炎』のように、重厚な作風を通して、人々に何かを訴えかけていく事が
演劇の持つ一つの役割であると言えます。
ですが同時に、宝塚のように人の心にそっと寄り添い、光を照らし、
浄化させていく事も演劇の持つ力ないし役割の一つであると感じずにはいられません。

今回は真逆の作風の『炎』を観劇した直後でしたので、こうした宝塚の舞台の持つ
カタルシスの効能、ハッピーエンドの尊さがいつもより強く感じられました。

そして、こうした幸福感を体現していらした早霧さんと咲妃さんをはじめとする
雪組の皆様には心からの拍手を送らせて頂きたいです。
芝居心・団結力のある組だからこそ、ハッピーエンドの物語が虚構ではなく、
リアリティを帯びた心に響く舞台となっていたのだと感じます。
改めてタカラジェンヌの皆様の持つエネルギーや実力に感服してしまいました。

これからの新生雪組の動向から益々目が離せません!!!
次回の雪組の舞台は2015年1月〜3月の大劇場御披露目公演です。
こちらもお見逃しなく!!(詳しくはコチラ)

日生劇場にて次回作のご案内!
(撮影:aki)


最後までお読み頂き、ありがとうございました☆
感謝をこめて☆☆

Aki Ishizaka



(※1)
物語の解説箇所は宝塚歌劇のHPを参照致しました。
(http://kageki.hankyu.co.jp/revue/401/index.shtml)

2014年10月19日日曜日

『炎 アンサンディ』を観て...

皆様、こんにちは。
今回は、感動を通り越して「衝撃」を受けた舞台についてのコラムです。

10月14日(火)のソワレに世田谷シアタートラムにて
『炎 アンサンディ』という舞台を観劇しました。
レバノン出身の劇作家ワジディ・ムワワド氏原作、翻訳:藤井慎太郎氏、
上村聡史氏演出、麻実れいさん主演の作品です。

題名の「アンサンディ(incendies)」とはフランス語で、
火災や火事といった災いを意味するニュアンスが込められています。

レバノン内戦を生き抜き、カナダへ亡命した母親のルーツを双子の姉弟が
解き明かしていく物語です。
舞台は“現代のモントリオール ”、“過去のモントリオール”、“現在の中東”、
“過去の中東”と、四つの時間軸が交錯し、展開されていきました。
詳しいストーリーは以下の通りです。

シアタートラムにて撮影。筆者も写ってしまっております。
幽霊ではございません。悪しからず(笑)
(HP→
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2014/09/post_370.html)

【ストーリー 】
「現代のモントリオール。公証人エルミル・ルベルは、生前に親交のあった中東系カナダ人女性ナワルの遺言と二通の手紙を彼女の実の子である双子の姉弟ジャンヌとシモンに託す。その二通の手紙にはそれぞれ宛名が書かれており、姉には死んだと聞かされていた父を、弟には存在すら知らされていなかった兄を探し出して、その手紙を渡して欲しいという衝撃的な遺言が告げられていた。そして、その目標が達成された時、更にもう一通の手紙が双子に渡されるというものであった。
 ある日を境に突然話すことを止め、実の子にも心を閉ざして生きてきた母への複雑な思いから、双子は反抗的な態度をとる。だが、公証人のルベルにも促され、母親のルーツを訪ねてみたいという思いが徐々に芽生え始めた双子は、母親の祖国・中東へ旅立つ決心をする。初めて母の祖国の地を踏んだ姉弟は、母の数奇な人生と家族の宿命に対峙することになる。(※1)


母親の沈黙、遺言書の意図、父と兄の姿、そうした全ての謎が解き明かされた瞬間、
今まで感じた事のない大きな衝撃が走りました。

演出のクオリティの高さ、役者の方々の迫真の演技に対する感動を通り越して、
絶望、悲しみ、怒り、やるせなさ、そういった様々な感情が一気に押し寄せ、
私自身が主人公と同じく沈黙してしまいたくなるような感覚に陥ってしまったのです。
(※無論、演出をはじめ役者の方々が作品の本質を体現していらしたので、
そのように感じたのです。)

話のネタバレにもなってしまいますが、舞台のちらしの裏面や多くの新聞評にも
書かれています通り、この戯曲はギリシャ悲劇の『オイディプス王』(※2)
彷彿させる作品でもあります。

ですが、ギリシャ神話である『オイディプス王』は自分とはかけ離れた物語として
感じられるのに対し、この『炎』は現代、中東の内乱が背景となっていること、
そして原作者であるムワワド氏自身がベイルートで内戦を経験し、
カナダへ亡命を果たしていることも相まり、
私たちの身近で起こりうる切実な問題として迫ってきたのです。

国の混乱が引き起こした家族の悲劇。
正直タブーとも言える事実に直面した際、もはや沈黙するしか道はないように
感じてしまいます。
ですが、この作品の深みは絶望を伴いながらも事実を受け止め、
愛をもって生きていくことを指し示している点にありました。


シアタートラムの入り口
(撮影:aki)

とはいっても、終演後は感情の整理がつきませんでした。
ブログを書いている今でも、複雑な思いが先走ってしまいます。

ですが、ただ一つ言えるのは、この作品に出会えて良かったということです。
私自身は無力であり、問題に対して具体的に何かできるわけではありませんが、
僭越ながら「観劇を通して感情が大きく揺らいだ」という事実が
意味のあることだと思うのです。

他者の問題をリアリティをもって相手に感じさせること、
それが演劇の持つ力ないし役割であることを今回の観劇を通して
改めて気づかされました。

そして、この話には個人的に続きがあります。(あくまで個人的に☆)
『炎』を観劇した翌日、宝塚歌劇雪組公演『伯爵令嬢』を見に行きました。
正直『炎』の観劇直後に、真逆ともいえるハッピーエンドの作品をみてしまったら
宝塚に何か抵抗を感じてしまうのではないかと心配してしまいましたが、
それは杞憂に終わりました。

真逆の作風の舞台を立て続けに観劇したことで、何を感じたのか?
次回の観劇コラムで綴らせて頂きたいと思います☆☆


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
感謝をこめて☆☆


Aki ishizaka


(※1)
ストーリーの記述は、『炎』のちらしの裏面および当日配布された解説文を参照致しました。
(※2)
『オイディプス王』
ギリシャ神話の登場人物。宿命により、知らずして父王を殺害し、生母を妻としたが、
事の真相を知り、自ら両目をえぐり取り、諸国を放浪して死去。

ギリシャ三大悲劇詩人の一人、ソポクレスによって戯曲化された。


2014年10月13日月曜日

NHKスペシャルのお知らせ

皆様、こんにちは。
この度、番組の宣伝をさせて頂きます。

2014年10月19日(日)21:00~22:15 (総合)
NHKスペシャル「カラーでよみがえる東京〜不死鳥都市の100年〜」
(http://www.nhk.or.jp/special/phoenix/)

東京の激動の歴史を物語る貴重な映像がカラーでよみがえります。
映像を通して、首都である東京の記憶を体感できる番組です。

番組のCMはコチラ
※You Tubeでのリンクが切れてしまっていたので、NHKのFBのリンクを
貼らせて頂いております。(2014年10月31日)


栄枯盛衰を繰り返し、現在の東京が形成されています。
そして都市の歴史は、紛れもなく私たち人類の歴史です。
当たり前の事ですが、考えるととても感慨深いと思います。

秋の夜長に「時空を超える旅」はいかがですか?
ぜひ御覧下さいませ。

そして僭越ながら、昨年私自身が参加していた研究プロジェクト
「早稲田大学演劇映像学連携拠点共立女子大学千代田学事業」
ほんの少しだけ(本当に微々たるものですが)学術協力させて頂きました。

協力させて頂きましたのは、1936年に東京宝塚劇場にて上演された
白井鐵造の演出作品:レビュー『ラ・ロマンス』の映像についてです(※1)
宝塚の歴史であると同時に、帝都東京の華やかなモダン文化を彩った映像としても
お楽しみ下さい。


最後までお読み頂き、ありがとうございました!
感謝をこめて。

Aki Ishizaka



※簡単な解説
①白井鐵造(1900-1983)
「レビューの王様」と称された宝塚歌劇の演出家兼振付家。
代表作に『パリゼット』(1930年)、『花詩集』(1934年)、『虞美人』(1951年)。
現在でも宝塚で歌い継がれている「すみれの花咲く頃」は白井がレビュー『パリゼット』を通して宝塚に紹介した楽曲。
(「すみれの花咲く頃」の原曲はウィーンの作曲家フランツ・デーレによる「ニワトコの白い花が咲く頃」。)

②レビュー(revue)
19世紀のフランスで発祥した演芸の一つ。 
歌やダンスを中心に、寸劇などの各寄席芸種目を組み合わせ、テンポ良く場面を展開させていく舞台形式の事を指す 。 
基本的に一貫した筋書きはなく、場面ごとの独立性や視覚的効果を重視している事が特色として挙げられる。 
だが、時代や国によって特色は異なるため、その定義は流動的且つ曖昧である。
(※ちなみに『ラ・ロマンス』は筋のあるレビューです。ほとんどミュージカルに近いものです。)
パリでは主にフォリーベルジェール(Folies Bergère )、ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge)などの
ミュージックホールでの上演が人気を博し、しばらくしてロンドンで流行、そして次にニューヨークへ輸入された。
日本での最初のレビュー上演は、宝塚少女歌劇(現:宝塚歌劇)による岸田辰彌演出の『モン・パリ』(1927年)と言われている。