2014年11月7日金曜日

『至高のエトワール 〜パリ・オペラ座に生きて〜』

皆様、ご機嫌いかがですか?

明日、11月8日(土)からBunkamuraル・シネマにて(ほか、全国順次ロードショー)
映画『至高のエトワール 〜パリ・オペラ座に生きて〜』が公開されます。

パリ・オペラ座バレエ団のエトワールを16年間務めた
アニエス・ルテステュ(Agnès Letestu)の2013年アデュー公演『椿姫』(退団公演)までの
2年間を追ったドキュメンタリーです。(※1)

映画のちらし&試写会当日に頂いたリーフレット
(撮影:aki)



先日、一足お先に試写会にて鑑賞しました。
心が洗われるほど美しく、奥深い、感動的なドキュメンタリーでした。
一押しの映画です☆
(公式HPはコチラ)






本作は、アニエス自身のインタビュー、貴重な舞台映像と共に
彼女と同じ舞台を共有したダンサー、振付家、そしてオペラ座関係者の証言で
構成されています。

「エトワール」として舞台に立つ責任の重み、
その責務を凌駕してしまうほどの踊る喜び、
舞台上で一心同体となるパートナーへの思い、周囲の人々との信頼関係といった、
アニエスをはじめ、彼女を取り巻く舞台関係者の方々のバレエにかける情熱、
そしてバレエを通して深く築かれた絆が
ダイレクトに伝わってくるドキュメンタリーです。

眩いばかりに美しいバレエの舞台は、こうした愛を持って取り組んでいる人々によって
創られているのだと身を以て感じられます。

シャガールの天井画が美しい
パリ・オペラ座ガルニエの客席
(パリ・オペラ座で購入したポストカード:私物スキャン)


そして何よりも、「芸は人なり」という言葉が自然と浮かんでくる点が、
このドキュメンタリーの醍醐味と言えるでしょう。

周知の通り、アニエスの踊りは「優雅で上品」と形容されます。
私自身、幸運にも彼女の舞台を拝見していますが、
まさに彼女の踊りは“エレガンスの極み”と言っても過言ではない美しさです。
常に大人の品格が漂い、深みがあるのです。

そのエレガントさの秘密は、疑いもなくアニエス自身のパーソナリティーにあるのだと
映画を通して実感できます。

舞台上のみならず、インタビューでの受け答えや佇まい、
全てにおいて美しく、そして大人の貫禄に満ちあふれているのです。

また、アニエスの普段のファッションセンスからもエレガントさが伺えます。
彼女は舞台衣装のデザイナーとして活躍していることもあり、
美を体現するのに長けています。



映画のチラシ&当日頂いたリーフレットPart2
(撮影:aki)


そして、とりわけ舞台の練習風景からアニエスの人となりが伝わってきました。
印象的だったのは、共に舞台を作り上げている人々を尊重している姿でした。
彼女の周りには絶えず穏やかな空気が流れていることが映像からも充分垣間みられます。

また、彼女は情熱的に役を深めながらも、常に自身の踊りを俯瞰しているのです。
そこには邪念が一切なく、バレエの神髄を極める姿勢だけが存在していました。
美意識の高さに加え、「情熱さと冷静さ」、「穏やかさとストイックさ」といった
バランス感覚の良さが、
彼女の品格のある美しい踊りを形成しているのだと思います。


本作を通して、やはり舞台は人格が透けてみえてしまうものだと
改めて感じました。

このドキュメンタリーは間違いなく、バレエファンには必見です。
ですが、「一人のダンサーの生き様を通してバレエ芸術に触れる」という観点からは
万人にオススメできる映画と言えるでしょう。

皆様ぜひ、御覧下さい☆



最後までお読み頂き、ありがとうございました。
感謝をこめて☆☆

Aki Ishizaka



(※1)
エトワールとは、フランス語で「星」を意味する。
パリ・オペラ座におけるダンサーの階級社会の最高位。
またエトワールには定年が設けられている。